愛人募集掲示板で知り合った男性にやり逃げされた手口とは
猛暑日の飲み物は麦茶に限る。水だと物足りないし、ビールだと酔っぱらってしまう。
汗をかきながら麦茶を飲んでいると、紀子のことを思い出す。
紀子は、冬でも冷たい麦茶が好きな女だった。
「こんなおいしい飲み物はないよね」と、麦茶を沸かして冷やして一日に何リットルも飲んでいた。
彼女は僕の愛人だった。僕には家庭があったので、言うなれば不倫だ。
紀子とは愛人契約を交わしていた。彼女はインターネットを通じて自作のパッチワークの販売をしていたが、それだけでは食べていけない現実があった。
他の仕事をするくらいならば、愛人契約で生活費援助を受けながら、パッチワークの仕事を続けたかったのである。
ただし、愛人契約で財産を築こうとは考えていなかった。あくまでも、生活費の足しである。さすがに普通にアルバイトをするよりはお金を援助していたが、それでも愛人契約の相場としては格安だった。
紀子は純粋だった。ただ、自分の商品を気に入ってくれている人のために膨大な時間を費やしてパッチワークに励んでいた。
僕は、そんなひたむきな紀子のことが好きだった。手先が器用なことと関係があるのかは分からないが、ベッドの中でも繊細な指戯をしていた。
麦茶についても、お金がないのでコスパ最適な麦茶を夏場の水分補給に充てていたそうだが、すっかりハマってしまって今では麦茶なしの生活は考えられないなどと言っていた。
こうして、僕と紀子は、春夏秋冬、麦茶を飲み続けながら愛人関係を続けた。
しかし、それも過去の話である。紀子は顧客の一人と恋人関係になって、僕との愛人関係を清算した。丁度契約が切れる時期だったので、僕からは何も言えなかった。
僕は今も紀子に影響されてしまったのか、常に麦茶を作って、いつでも飲めるように冷蔵庫で冷やしている。
ただ、一つ後悔があるとすると、僕は紀子にとって麦茶のような切っても切り離せない存在にはなれなかったことだ。彼女が愛人契約の相場額を抑えたのも、いつでも清算できるようにとの考えがあったのかもしれない。
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